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少雨と長期間の高温に伴う農畜産物等の技術対策

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平成30年7月19日気象庁発表の「九州北部地方(山口県含む)1か月予報(7月21日から8月20日までの天候見通し)」によると平年に比べ晴れの日が多く、向こう1か月の平均気温は、高い確率70パーセント、降水量は、平年並または少ない確率ともに40パーセントと、高温・少雨が継続する見込みとなっております。また梅雨明け後の積算降水量も平年より少ない状態であり、今後農作物等への被害が懸念されます。つきましては、被害を回避するため農作物等の適正な管理及び用水の効率的利用等、干ばつにむけた技術対策を以下のとおりお願いします。 

 【共 通】

  •  熱中症対策として、高温下での長時間作業を避け、こまめな水分、塩分の補給と休憩を取るよう心掛けること。特に、高齢者は、のどの渇きや暑さを感じにくい傾向があり、熱中症にかかりやすいことから十分注意すること。

  

普通作物

 【水稲】

  • 水源地の貯水状況や今後の気象の見通しを踏まえ、用水の不足が予想される地域では、あらかじめ地域の利水者協議会等の関係機関との協議を進め、生育段階に応じた計画的な配水が行われるように準備する。特に、幼穂形成期から出穂・開花期にかけての用水確保と効率を考えた計画的な用排水利用に十分留意する。

早期水稲

  • 登熟期に当たる早期水稲は、高温になると稲体の消耗が早まり、穂への澱粉蓄積速度のバランスが崩れ白未熟粒の発生や充実不足等、品質・食味に影響を与える。用水の確保ができる水田では、掛け流し潅水などによる水温の低下対策を講じるとともに、登熟後半が肥料切れにならないよう、施用時期や施用量の適正化に努める。
  •  登熟期の干ばつ害は、直接収量や品質に影響するため、可能な限り用水の確保を図り、走り水を行い、収穫7から5日前までは、適度な土壌水分を保つ。
  • 節水管理には、田面の溝切が有効なため、溝切を実施し、少量の用水でも、すばやく田面全体に行き渡るようにする。用水不足時の入水は、夜間に行い、蒸散によるロスを少なくする。
  •  高温条件下ではカメムシ類の被害が多くなりやすいので、発生状況の適正観察に努め、発生状況や薬剤の使用時期を考慮した適期防除に努める。

 

普通期水稲

  • 高温により地温や水温が上昇すると、地力窒素の発現が多く過繁茂になりやすく、以降の生育バランスに影響を与える。また、未熟有機物の多い水田では、高温によりガスの発生が加速され、根の生育を阻害する。このため、品種ごと、栽植密度ごとの必要茎数確保が見込まれ次第、速やかに、中干しを実施し、過剰分げつを抑制し稲体の充実化をはかるとともに、中干し後は、間断かん水を実施する。
  •  減数分裂期から出穂開花期の干害の影響が最も大きい時期なので、この時期は、湛水または湿潤状態を保つ。用水不足の場合は、田面の溝切りを実施し、節水管理に努め、圃場の乾燥が進み強い白乾燥亀裂の場合は、走り水を行い適度の土壌水分を保つ。用水の十分に確保できる圃場では、高温による稲体の消耗を少なくするため、可能な範囲で掛け流し潅水等により温度を下げる。
  • 穂肥の施用時期が遅くならないよう、幼穂等の観察に努め、施用時期、施用量の適正化に努める。
  • 高温・乾燥条件下では、コブノメイガ等の食葉害虫やウンカ類では増殖速度が速まり世代交代が促進され大発生となりやすく、紋枯病及び穂吸汁性カメムシ類の多発生が懸念されるので、発生状況の観察に努め適正防除に努める。用水不足はいもち病多発の要因となるので、発生した場合は、防除を徹底する。
  • 出穂期以降の管理については、早期水稲に準ずる。

 

【大豆】

  • 高温条件下では出葉速度が速まる等生育が促進されるので、土入れ等の管理時期を失しないように努める。
  • 培土や畦立播種を行った圃場で干ばつによる生育抑制が見られる場合や、多くの水分を必要とする開花期に乾燥した圃場では、うね間潅水を実施する。
  • 高温・乾燥条件下では、ハスモンヨトウ等の食葉性害虫の発生や活動が活発になるので、フェロモントラップや圃場観察により発生に留意し適期防除に努める。
  •  アブラムシ類等の害虫は干ばつ時に発生が多くなるため、その発生動向に十分注意し、適期防除に努める。薬剤散布は、朝夕の涼しい時間帯に行う。  

 

野菜

 

干ばつ対策

  • 土壌の保水力を高め、また、根を深く張らせるために、深耕、有機物の投入等に努めるとともに、用水の確保に努める。さらに、敷きわら、マルチ等により土壌面からの蒸発防止に努める。また、ハダニ類、アブラムシ類、いちごたんそ病等干ばつ時に発生が多くなる傾向の病害虫については、その発生動向に十分注意し、適期防除に努める。

 

高温対策

【共通】

  • かん水は、立地条件や品目、生育状態等を十分に考慮し、早朝・夕方に実施する。施設内でのかん水は、湿度が高くなりやすくなることから、雨天の日中には、通風するなどして湿度を下げる。また、地温上昇の抑制や土壌水分の保持を図るためには、使用時期や施肥等に留意しつつ、地温抑制マルチや敷わら等を活用する。高温耐性品種の選定に当たっては、立地条件、品種特性、需給動向等 を十分に考慮する。
  • 園芸用施設においては、妻面・側面を解放するとともに、作物の光要求性に応じて遮光資材等を使用し、施設内の温度上昇を抑制する。遮光資材は、果実の日焼けや葉焼けの防止にも有効である。循環扇は、局所的な高温空気の滞留を防ぎ、室内温度の均一化が図られるとともに作業快適性の向上が期待でき、さらに、天窓の開閉や換気扇等を活用した換気、遮光資材、細霧冷房等の対策と併用することが重要である。
  • こまめな除草を行うとともに、側枝及び下葉を除去し、風通しを良くする。
  • 育苗箱は、コンテナ等でかさ上げし、風通しを良くするよう努める。  
  • いずれの対策も一定の効果が認められるが、単一の技術のみでは、その効果が不十分であることから、複数の技術を組み合わせて実施する。

 

 

【いちご】

  • 育苗中に高温が続くと苗の充実が悪くなり、花芽分化が遅れるので寒冷紗の高 張りによる降温対策を行う。
  • かん水が少ないと、日焼けが発生するので、十分なかん水を行う。
  • たんそ病は高温下で発生をするので、新葉への発病を防ぐため、定期的な防除を行う。また、り病後の早期発見につとめ、り病株の圃場外持出しを徹底する。ハダニ、アブラムシ等の害虫発生が多くなるので、予防防除を徹底する。

 

【播種前の根菜類】

  • 夕立ち等を利用しては種できるよう、は種準備を早めにしておく。
  • は種後は鎮圧し、切りわら等を多く施し、乾燥及び日焼け防止に努める。

 

【夏秋果菜類】

  • できるだけ厚めの敷わらを行い、かん水可能な所はかん水を行う。
  • 草勢が低下しないよう、液肥で追肥を行い、早めの摘果を行い、植物体の負担を軽くする。
  • トマトは、高温、乾燥で、尻ぐされ病が発生しやすくなるので、乾燥防止に努め、発生する場合は塩化カルシウム(カルクロン等)の葉面散布を行う。

 

【抑制メロン】

  • 適期定植ができるよう、早めにうねづくりを行い、十分かん水した後、マルチ被覆を行う。
  • 定植前、植穴を掘り、十分かん水しておく。日中高温時の定植は避け、夕方気 温が低下した頃、1株毎にかん水する。支柱立ては早めに行う。

 

【育苗中の葉菜類】

  • 降雨を見計らって、うねづくり、マルチ被覆の準備を早めに行う。
  • レタスでは、高温期のは種(定植)は、抽だいの恐れがあるので、適期は種(定植)を行う。
  • セルトレイ育苗を行う場合、均一なかん水、底面給水を行い、良苗生産に努める。
  • 定植後や生育期間中は、かんがい施設等を利用し、こまめにかん水を行う。

 

果樹

 【共通事項】

  • 敷わら、敷草を行い、土壌水分の蒸散防止に努める。刈り取った草は樹冠下に敷く。
  •  極力かん水を行い、干ばつの被害を防止する。特に幼木はこまめなかん水を行う。ただし、みかんは水分ストレス付与による増糖効果を高める時期なので、少量かん水とする。
  • 干害の程度に応じ、摘果(摘房)等を行い、樹体への負担軽減をはかる。
  •  薬剤散布は、早朝の涼しい時間帯に行う。なお、害虫の発生時期が早まるため、発生初期の薬剤防除に努める。

 

【みかん】

  • シートマルチ栽培を行っている園では、かん水チューブ等によるドリップかん水等により、地表面に直接かん水できるよう配慮するとともに、早めにシートマルチを被覆して土壌水分の蒸散防止に努める。
  • 水分ストレス付与による増糖効果を高める時期なので、早朝に葉の巻き具合や葉色の変化など樹勢の状況を見てかん水するかどうかを判断する。かん水量は10アール当たり2トン程度とし、その後の樹体の回復状況を見てかん水を追加する。なお、10日間の果実肥大横径が3ミリメートルを下回った場合は、かん水を実施する。
  • 極早生・早生温州では、粗摘果の見落としが無いかどうか再度摘果を行い、樹体への負担軽減を図る。

 

【中晩柑】                                  

  •  「不知火」の水分ストレス付与は秋季なので、7から8月は充分にかん水して果実肥大と細根量の拡大による樹勢維持に努める。

 

【ハウスみかん】

  • 寒冷紗の被覆やクレフノンを天井ビニールに吹き付け、ハウス内の温度を下げるように努める。
  • 夕方に適度の葉水、かん水を行い、樹勢の低下を防ぐ。
  • 現在、収穫中のハウスみかんは、早朝の涼しい時間帯に収穫し、収穫後は果実の鮮度保持に努める。
  • 夏季剪定を行う園では、収穫終了後、充分なかん水を行い、夏芽の発生を促す。 

 

【びわ】

  • かん水を行い樹勢の低下を防ぐ。
  • 敷わら、敷草を行い、土壌水分の保持に努める。

 

【なし】

  • 果実の日焼け防止に袋掛けを行う。
  • 高温と土壌の過乾燥が続くとヤケ果や水ナシ果になりやすいので、充分なかん水を行った後に敷草、敷わらを行う。
  • 気温の低い早朝に収穫を行う。

 

【ブドウ】

  • 高温と土壌の過乾燥が続くと脱粒しやすくなるので、充分なかん水を行った後に敷草、敷わらを行う。
  •  夕方に適度の葉水を行って、着色促進を図る。
  •  気温の低い早朝に収穫を行う。

 

  •  茶園の外周およびうね間の土壌管理として、敷わらや敷草等を行い地表面からの水分蒸散を防ぐ。
  • 茶園の周囲の障害物を取り除き、風通しを良くする。
  • 水の確保に努め、定植当年の植栽園および挿し床は定期的にかん水を行う。
  • 定植後2から5年の幼木園は、株元のかん水に努める。成園も極力かん水に努める。かん水は朝夕の涼しい時間帯に行う。
  •  強度の深耕は控える。
  • 更新園等の整枝処理は、葉の日焼けを防ぐため、日差しの弱い夕方の時間帯を選び、複数回に分けて切り戻す。
  • カンザワハダニ、チャノミドリヒメヨコバイ等の害虫発生に注意し、適期防除に努める。薬剤散布は、早朝の涼しい時間帯に行う。

 

花き

 干ばつ対策

  •  ビニールや敷きわら等を活用してマルチングを行い、土壌の乾燥防止に努める。
  •  ハダニ類、アブラムシ類及びうどんこ病など干ばつ時に発生が多くなる傾向の病害虫については、その発生動向に十分注意して適期防除に努める。
  •  今後作付けするものには、土壌の保水力を高め、根を深く張らせるために、深耕や有機物の投入等を実施するとともに、用水の確保に努める。

  

高温対策

  •  かん水は、立地条件や品目、生育状態等を十分に考慮し、涼しくなる早朝・夕方に実施する。
  •  定植は曇天日に実施し、定植後の土壌乾燥を防ぐためにビニールや敷きわらなどでマルチングを行う。
  •  施設内でのかん水は湿度が高くなりやすくなることから、夜間や曇雨天の日中に行う場合は、風通しを良くして湿度を下げる。また、こまめな除草や下葉の除去を行う。
  •  施設栽培は、風通しを良くするために妻面・側面を解放するとともに、作物の生育状況に応じて遮光資材等を使用し、施設内の温度上昇を抑制する。また、細霧冷房装置やヒートポンプなど昇温抑制機械が設置されている施設は、切花品質向上や開花遅延対策として積極的に活用する。
  •  播種が終了した育苗箱は、風通しを良くするためにコンテナやブロックでかさ上げする。 

 

 畜産

 【飼料作物】

  •  干ばつの被害で正常な生育が期待できない場合は、早目に刈り取り、乾草、サイレージとして、貯蔵して利用する。
  •  幼植物の時期に干ばつ状態がつづく時は、かん水を必要とするが、一度行うと中断により枯死する事があるため、生育が安定するまで、かん水を継続する。
  •  干ばつ状態が続くと、アワヨトウ、アブラムシ等の害虫の異常発生することがあるので、早期発見と防除に努める。食害被害の進度が著しい場合は、早急に刈り取り作物被害の軽減を図る。
  •  ソルガムの遅播き等で今後の生育が期待できず、飼料不足が予想される場合は、8月上旬までであればソルガム、青葉ミレットを、中下旬では極早生えん麦を作付ける。
  •  放牧地等草地については、過放牧、過度の低刈りや短い間隔での刈り取りを避け、貯蔵養分の消耗を軽減して草勢の維持に努める。

 

【家畜】

  •  飼養密度の緩和や、畜体等への散水・散霧により、家畜の体感温度の低下を図るとともに、換気扇等による送風、換気・寒冷紗やよしずによる日除け、屋根裏への断熱材の設置及び屋根への消石灰の塗布等、畜舎環境の改善を図る。
  •  良質で消化率の高い飼料及び清浄で冷たい水を給与する。